高宮あきと云う奴によるDBトラ飯ブログです。pixiv(9164777)もやってます♪主に女性向けなので、嫌悪感じる方はご遠慮下さい(汗)。


by synthetia

未来師弟小説(トラ視点)UPです!

いきなり涼しくなりましたねぇ…。

ここずっと胃の調子が悪かったり夏バテですぐ気分悪くなったりで病院で検査してきました。
だけどそういう時に限って、妄想のチカラが働くんだ…!!
そういうワケで、つい未来師弟小説をアップしてしまいました♪ 前にアップした『Lune d'eau』の続編ですが、分からなくても読めますのでご安心を。

Web拍手ポチってくださった皆様、有難うございます!!
ここずっと仕事先でヘコんでいましたが、元気復活ですぞー!!!

8/16 01:21にコメントくださった方

『初恋』…うわぁ懐かしい恥ずかしいでも有難うございまーす!!
悟飯とウレイナのエピソードは当時ノリノリで書いた思い入れのある作品ですので、こうしてコメント頂けると「書いて良かった!」と思えます。オリジナル要素が高過ぎて心配ではありますが…(汗)。
う〜ん…いつか真武道会2後設定で洵と悟飯さんだけでも再会させてあげたくなってきました。
そして二人でウレイナのお墓参りしてもらいたいものです!




Ensoleille

 オレが家業を継いでから約2年が経過しようとしている。
 社長、という肩書きは頭でっかちな名ばかり、実際のところ母親(副社長でありオレの補佐となっているけど彼女こそがリーダーだ)の元で諸々の勉強をしたり時折やってくる書類に目を通して社印を押したり「今後に向けて」新製品の提案が出てくれば会議に顔を出したり、本心では「これどういう意味だろう…?」「どうしてこういう動きをしているんだろう」とか思っていても社員達の手前、表向きは堂々としていなくてはならず、会議室を出てから懐のメモを取り出して疑問点を箇条書きにしておいたものをまとめて母親に聞く始末だ。まぁ、最近はそれも回数減ったけど。
 まさか企業のトップが「自分の会社の企業理念を言えない」とか、
 ショートカットキーすら覚えていないとか、
 そもそも社会経験を積んでいないのでマナーも知らない、とも言えず。

 特にここ数ヶ月、一番辛いのが「資料の作成」だ。

 社長だから何もせず、ただ商談や会合だけ出席していれば済む、という話でもなく。うちの母親はとにかくオレに課題を出したがる。作らせたがる。見せたがる。
 まず、社長の椅子に座る前にやらさせたのが、自分一人でスーツを購入する事だった。それもオーダーメイドで。どの店にするか、イメージはどうするか、併せて靴やその他の身につける物をどうまとめるかなどを考えるだけでも一週間はノイローゼ気味になったものだ。行きつけのサロンで周期的に髪をカットする、堂々とした物腰で歩く術を身につける、挨拶の練習、名刺交換、電話口での声の出し方、イントネーションに気を配る…が最初に与えられた課題で、入社して半年間、今度はいきなり製造の現場にまわされたオレは肩身の狭い思いをしながら主任と隣通しで設計図を見たり書いたりさせられた。あまり大した仕事はさせられなかったが、現場がどういう工程を経て進行していくものなのかを実感出来たから、これは有り難かった。それに、正直オレはデスクワークよりも現場の方が楽しかった。あの堅苦しいスーツも靴も身につけなくて済むし、仕事後のビールが美味い!

 …そんな天国から引き剥がされ約1年半、オレは秘書付きの身分となった。
 なったのはいいが、トイレや食後のコーヒーぐらい自由にさせてほしい。

 そうだ、話がぶれてしまったけどオレは今、資料作成に手間取っている。
 そもそも新しい企画の話は社内の部署がまとめて資料を作成するのが通例で、それに目を通して合否(まずOKしか出さないけど)を出すのがオレの役割なのだが、
「そういう企画書、アンタも自分で作ってみなさい」
 毎日欠伸をかみ殺して社印を押すオレに、母がとどめを刺した。
 そしていざそれをやってみたら難しかった…!
 まず自分のいる会社がどういう理念で製品を出しているかを理解しなくてはならないし、製品を使う年齢層やターゲットを絞り、どうアプローチして売り出すかを考えなくてはならない。…成程これは社員達の血と汗の結晶だ。欠伸しながら押印して良い代物ではないと思い知らされ、一週間かけて作成した企画書は勿論没となった。
 とはいえ、とりあえず現状オレがやっているのはスキルアップの一環だから社員達に渡る事はない…が、そろそろ本番で使えるようにしたいわねぇ、と鬼副社長。
「アンタ、それやり始めてからそろそろ1年目よねぇ? いい加減、書類作成に時間費やすのはやめてほしいわ。アタシだったらお茶飲んでる間に出来るもん。時間短縮の仕方がなってないんじゃない?」
 ショートカットを覚えたおかげで、当初は一週間かかったのが二日間で終わるようにこぎつけた。だがそれじゃ母は納得しない。
 オレは文面をまとめたり、レイアウトを組んだりするのが苦手だ。あと要所を絞ったりするのもダメで、合間に内線が鳴ると尚更気が散ってしょうがない。
「社長、お客様がお見えになりましたが」
 こんな忙しい瀬戸際だってのに、アポイント無しのどこのどいつだ。苛立った胸中を押し隠して振り向けば、自分の顔が阿呆みたいにほころぶのが解る。
 ドア前に立つ秘書と、隙間から顔を出す師匠。ただしあの道着姿ではなく、シャツとスラックスを着ていた。山吹色も似合うけど、今のその格好も悪くない。
「忙しいのにごめんな。…電話してから来れば良かったんだけど、ちょうど近くまで来ていたから、つい」
「いえいえ! オレもちょうど煮詰まってて疲れてたんですよ! …あ、それって」
 師匠は可愛らしい紙袋を持っていた。母さんがよく買ってくるパティシエのだ。
「ああ、うちの大学の女子が教えてくれた店のなんだけど…」
「うわぁ、わざわざすみません。じゃあお茶の準備でもしますから、どうぞ適当に腰掛けてください」


「…なるほど、資料作成、かぁ」
「ええ、オレ文章とかそういうの全く駄目で、どこを絞れば良いか色々悩んでいる内に時間が過ぎちゃうんです。あとレイアウトっていうのか、アレも苦手で」
「あぁ俺も苦手だから、よく分かるよ。それでなくても最近は色々なソフトが一杯あるし、機能を覚えるのが辛いよな」
 男二人きりでケーキとコーヒーを交互に口に運びつつ、互いにグチを語った。
 人と喋るのが苦手で苦労している、とか、大喰らいなのを隠して外食するのは苦労する、とか、最新のアプリや曲を把握していないと話が出来ないだの、そりゃあ色々だ。人間ってどうしてこうも些細な事に気を遣わなきゃ生きていけないんだろう…そのくせ、自身の欠点は無視して他者の失敗に目を向け指摘する習性はどうしたものだろうか。社長だからって、けして万能ではないんだ。オレはまだ知らない事だらけの若造な訳で。
 でも悟飯さんは、この世界に復活してたったの一年しか経っていないのに、オレとほぼ同等の話が出来るのが凄い。よくよく考えると、この人がかつて生きていた時代にパソコンはあまり普及されていなかったし、メディアもほぼストップ状態で、数少ない情報しかない世の中だった。それに対し、ここ数年の流れは凄まじいものがある。なにせ半年前に出した製品が『もう古い』と言われて廃棄されてしまうのだから。…歌やゲーム、ソフトもそれに同様で、この波にうまく乗らなくては常識人にさえなれないのだ。
 だが、この師匠はたったの一年でそれについてきている。凄いと思うし尊敬はしているんだが…ちょっと寂しい。
「これ、原稿?」
 ケーキを食べ終わった師匠がオレの書き出したテキストを見た。デスクの上に置かれたそれは結構な量で、見るのも触るのもおぞましい。「読んでみてもいいかな?」と聞かれてオレは首を縦に振ると、何時の間にか昔のような光景になった。
 そう、地下シェルターで文法や綴りの勉強を見てもらっていた頃のように。
 自分の鞄から取り出した赤いボールペンを片手に、師匠はオレのテキスト(コピーをとったもの)にチェックを入れたり、元となった参考資料をくれ、と要求されたのでそれを見せた。
「トランクス、いらない紙あったらくれないか?」
 言われるままに渡すと、悟飯さんは小難しい顔をしながら、白い紙面に赤い線でレイアウトを書き始めた。約十分ほどだろうか、見開き2ページほどのラフが完成したのは。先程渡した資料のカラーコピーに番号をふって、どの製品のどの写真を配置するだの、ネームはここに流すだのといった、ざっくばらんだが分かりやすい指示書だ。
「俺もさ、大学でプレゼンや発表をやらされるんだけど、こういう資料作りが苦手でよく悩むんだ。でも、最初に紙でレイアウト組んじゃうとラクだよ。あとな、トランクスはよく専門用語使って説明しようとしてるけど、それより『どういう機能がある』とか、使う側の感覚で製品の紹介をしたらどうだろう? そのほうが分かりやすくて良いと思うけど」
 でもキミ、文章なかなかちゃんと書けるようになったじゃないか。と、頭を撫でられるオレは複雑な気分で眉間に皺を寄せた。…困った、今やこの人はオレより年下なのに、なんだか抱きついて甘えたくなってきたぞ。これって他力本願だろうか。いや大人だろうオレ。しかし今回ばかりは…。


『ちょっと訪れた客人』から『臨時手伝い』にクラスチェンジさせられた師匠がどうにかその仕事を終えたのは、夕方の六時過ぎだった。校正もしてこの時間に終わるとは! オレはもうこの師匠に一生逆らえない。もとい今日はパオズ山に足向けて眠れないのは確実だろう…。
「はい、これ。一応校正して修正しておいたけど、もう一度ちゃんと確認してからプリントしろよ。データはデスクトップのこのフォルダにあるから、バックアップとっておきなさい」
 軽く伸びをして立ち上がる師匠に何度も礼を述べると「今度は自分でやれよ」と笑われる。たまたま今日は機嫌が良かったからいいものの、もし虫の居所が悪かった日には「大体キミは昔から…」となじられ昔のオレを引き合いに色々説教しただろう…。
「ん? どうした?」
 仕事もう終わったんだからどうして暗くなるんだよ、と訪ねられ、つい泣き言を言いそうになった自分を抑えてオレは微笑む。いえちょっと肩が凝ってて、と呟くと、鞄片手に帰ろうとしていた悟飯さんがオレの両肩を揉んでくれた。
「…もう少しだけ、こうしていたいんですけど」
「今日は平日だろ。俺はもう帰るから、あと少しだけ頑張りなさい」
「もう。どうしてそんなに厳しいんですかね、悟飯さんは」
「俺は、凄く優しくしてるつもりなんだけどね」
 優しくなくてすみませんねぇ、と、ふざけた口調の師匠がくすくすと笑う。
「…あのな、トランクス」
 帰る寸前、扉の前でこちらを振り返った悟飯さんが少しだけ表情を曇らせて数秒俯いた。その顔は『困っている時』専用の表情だ。何かを言いたそうにじっと考え込んでいる様子から、オレは不意に気付く。そうだ。今日、明るい内から此処まで来たからには悩み事でもあったのでは…? それをオレに聞いてほしくて、訪ねてきてくれたんじゃないか?
 だがこちらの胸中をよそに、目の前の童顔はいつも通りに笑うと「やっぱりなんでもない」とこぼし、手を振って退室していった。「俺も手伝ったんだから早く仕事片付けろよな」と言い残して。


 それから後はあまり憶えていない。ただ、ドア越しの秘書に「客人の忘れ物を届けてくる」とかなんとか訳の分からない言語を言い放ったのだけは記憶している。オレが時折こう言って窓から飛び出すのを平然と見守り続けてきた優秀な部下は「お気を付けて」とだけ返してくれた。シアンとパープルの入り混じったパノラマにオレンジの太陽が溶けている。
 上空1万フィートを飛ぶオレを阻むものは何一つなかったので容赦なくとばし、ゆっくり飛んでいるであろう悟飯さんを軽く追い越し手を振ると、相手は何事だ? と言いたげに首を傾げ静止した。すいません驚かすつもりは無かったんですが、と投げれば、呆れた声音で「はぁ」と返される。
 …落ち着いて観察すると、前会った時より髪が伸びていて、それもまた似合うなぁ、と今更気付く。あと左手首につけた腕時計、オレがあげた物をちゃんと使ってくれてるんだなぁ、とか。
「トランクス?」
 あー…オレって本当に、最低な恋人だ。
「おいトランクス、聞いてるか? 何かあったのか?」
「…さっきの沈黙が気になりましてね」
「はぁ?」
「『やっぱりなんでもない』っていうのが気になって」
「そんな事だけで、仕事抜け出してきたのか」
 それならコレにかけてくればいいだろう? そう言って悟飯さんは自分の胸元を指さした。そうだ優秀なモバイルは確実にオレの声を届けてくれただろう。
「でも、悟飯さんの顔見ながらが良かったから」
「……別に、大した事じゃ」
 そっぽを向いて沈む夕陽を眺める悟飯さんは「母さんを待たせてるから」と逃れたがるが、鮮やかな逆光に染まるその身体を強引に抱きしめると、日焼けした両腕がオレの背中にまわされた。
「…苦しいぞ」
「抱きついてるのは、悟飯さんじゃないですか」
「トランクス」
「…はい?」
「今度はいつ、会えるんだ?」
 ああ、そうか。そういう事だったのか。またしてもオレは最低だ。

 会いたい、と思ってくれている事に今更気付くなんて。

「すみません。ここずっと、連絡出来なくて…」
 思い返してみれば最後に会ったのが三週間前。メールでこそやり取りしていたけど、土日出勤もあって、会えるチャンスが無かった。無論それは悟飯さんにも知らせていたし「仕事が忙しいなら仕方ない」「俺もサークル活動あるから」というメールの文面を鵜呑みにしていた、そんな自分が情けない。
「…なに情けない顔をしているんだ。ほら、俺は怒っていないよ。ただ、どこかで会えたらいいな、って思っただけさ。でも忙しいならそう言ってくれれば良いよ」
 相手より大人になった気でいた、ちょっと追い越したと優越感に浸っていた黒い部分さえ溶かしてしまう、そんな暖かさと笑顔に、少しだけ目頭が熱くなった。
 追い抜かなくても、追い越さなくても、それでいい。
 オレは、悟飯さんの笑顔さえ守れれば、それでいい。
「…悟飯さん、すみません…」
「連絡くれよ。…待ってるから」
 ぽんぽん、と肩を叩かれ、去っていく背中を見守る内に太陽は姿を消したが、空と雲の合間の力強い色彩は沈むオレを穏やかに包んでいた。


END.



Ensoleille(アンソレイユ)…『陽だまり』という意味らしいです。
こないだの『Lune d'eau』が悟飯視点だったので、今回はトラ視点です。
なんか色々とシュミと妄想に任せて書き進めたので、間違ってたらすみません(汗)。
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by synthetia | 2013-08-25 12:11 | (主にトラ×飯)駄文 | Comments(0)