トラ飯駄文 その三
2014年 08月 26日
ちょいと腐った展開になりかけてます。ベタベタ甘々お嫌いな方は止めた方が…(汗)!
———今度、稽古つけてくれませんか…?
あれ以来、オレ達は毎朝午前四時に目を醒まし、郊外の海辺で鍛錬を行った。
悟飯さんの動きは当初ぎこちなくて「これは本当に悟飯さんか?」と疑いたくなるほど縮こまっていたのだが、一旦『気』のコントロールを教えた途端、驚異的なスピードで体術を習得していった。
今や、ほぼオレと互角。いや、力押しで突っ切られたらオレでさえ危ないな…。
「ほらそこっ…!」
しまった、余所見をしている場合じゃなかったんだ。
気功弾———顎を直撃したそれは虚空へ伸び、真上へ綺麗に決まった。
そしてオレは———砂浜に墜落した。
第三話『きっと、つたえる』
「ト、トランクスさん…っ、トランクスさんっ、ごめんなさい…っ!!」
水平線に漸く太陽が昇る頃合い。山吹色の武道着を纏った悟飯さんが慌てて駆け寄って来る。そんな血相変えなくても、昔はもっとキツい修行したんですよ…と告げたかったがそこはグッと堪え、相手がオレを膝枕してくれるのを受け入れ、朝の白んだ月を見上げていた。
オレを見下ろす悟飯さんは、健康的ではあるけれどやや色素の薄い肌をバラ色に染め、幾筋かの汗を流して心底心配そうにこちらを観察している。
「ごめんなさい、ボクつい、『気』を使ってしまって……」
大きな目を翳らせ、そっと伏せる様子。微かに潤んだものが光を弾いて、オレは別の意味で『大丈夫』ではなくなる。整った鼻筋、滑らかで綺麗な唇、しなやかな体躯、なによりこの、悟飯さんの放つ香りが、まずい。まずいよ、悟飯さん…。
…張りつめる前に、退けなくては。
なにせ相手は、(精神だけは)子供だ。
何食わぬ顔を作ってわざとらしく「あ〜あ、お腹空いたっ!」と叫んで起き上がれば、当の悟飯さんはドングリ目を瞬時にキラキラ輝かせて「そうですね」と、溢れんばかりの笑みを浮かべてくれた。
「…そろそろ、帰りましょう。シャワー浴びて、朝食作らないと」
「そうですね! あ、今日はボクが朝ご飯作ります」
舞空術で早朝の上空を突っ切り競争をして、今日はオレの勝利。
悔しがる悟飯さんにピースをすると、相手は「べぇ」と舌を出す。
「はい、トランクスさん。今日はシャケ弁当ですよ」
朝食を終えると、先に出ていくオレへと、悟飯さんは手作り弁当を渡してくれる。いってきます、はい気を付けて、と別れた後は、夜まで別行動である。
悟飯さんは、通っていた大学に復帰した。
記憶に障害があり、多少人格が違って(一般的にはかなりしっかりしているけれど)はいるが、学力に問題は無いし、外部刺激が必要だろうと医者も言っていたので、同学年の友人達に助けられながら無事、キャンパスライフを送っている彼だった。
「えっとぉ、今日はぁ、アタシが悟飯センパイ送ってきましたぁ!」
同じサークル仲間だという今風の少女が、今日の当番だったらしい。
悟飯さんを無事、送り届けてくれた事に礼を述べると彼女は「いいえぇ」と手を振り、「悟飯センパイ、この方がずっと付き合いやすいし可愛いですから〜」と、ニコニコしながら帰っていった。
昨日は、ドレッドヘアーの青年。その前は、やたら髪の長いメガネ美女。
…悟飯さんは一体、どんな付き合い方してきたんだろうな…?
「…今日は、買物も付き合ってもらったんですよ。ほら、大漁でしょ?」
悟飯さんは両手に幾つものビニール袋をぶら下げ、それをオレへ見せつける。今日は広告で『バーゲンセール』だとか云ってたな。成程。
「さて、これで色々美味しいモノいっぱい作れそうだな。トランクスさん、何かリクエストありますか? ボク、何でも作ります!」
腕まくりをしてエプロンをかける仕種はまるで、記憶を失う前とほぼ同じだ。
…だからという訳じゃないが、耐えてきた筈の感情が一気に押し寄せて、あやうくその頬に触れたくなる。髪を撫で、もっと引き寄せたくなる…その唇、声をもっと…。
「…あ、トランクス、さん…?」
オレの異変に気付いたのか、少し後ずさる悟飯さんが首を傾げ「具合でも悪いんですか?」と、オレの額に手をかけた。ヒンヤリして気持ち良い。この頃随分しっかりしてきた為か慣れの所為か、悟飯さんの指から絆創膏はもう、無くなって久しい。
しっかりしろ。落ち着いて…深呼吸して…。
「…大丈夫ですよ。ちょっと、お腹空き過ぎて貧血気味なのかな…部屋で寝ていますね」
「…はい、無理しないで下さいね。ボク…夕食作ったら、呼びに行きますから…」
少し憂いを帯びた眼差しで、それでも比較的明るく微笑んで手を振る悟飯さんに微笑み返すと、オレは自室のソファーに横たわり仮眠をとった。
実際、ここのところ慣れない事の連続で、疲れている。身体が重い。
前は前で…『師匠』としての悟飯さんと、恋人として付き合うのにも気は遣ったし、それなりに疲れてもいた。彼の高圧的な物言い、年長者としての態度。なにかと口うるさく注意してきたりするのには、本当に閉口していた。とはいえ、オレが本当に臍を曲げ、時折、酷い暴言を吐いてしまった時は相手を泣かせてしまい(悟飯さんは『泣いてなどいない』と言い張ったけど)、傷付けてしまった事も多々有ったのだけど。
『俺はただ、キミが心配なだけなんだ』
あの人だって。…きっと、それなりに気は遣っていたのだろう。
ただでさえ不器用で、感情表現はあまり上手くなくて。そのくせ、万人には優しく穏やかな笑みを向けてそつなく振る舞って、困った人がいれば手を差し出して、自分は影で傷付き、それでも平気な振りをするんだ。
ただでさえそういう人だ。それにオレは赤ん坊の頃から彼の世話になっていたし、自分が育てた『子供』を恋人としての位置に据えるのは相当な努力が必要であったのだろう。
『もし俺の態度が偉そうだ、上から目線だ、と云うのなら…すまない。でも、忘れないで。俺は…好きな人の心配をしているだけなんだよ』
…何を今更。そうだ、もうあの人は何一つ、覚えていやしない。
ならばいっそこのまま全て流して、互いにまともな道を歩めば良いのだろうか。
《出来もしないのに…バカだな、オレは》
そうだ。あの人はオレを忘れたけれど、このオレの気持ちは、消せない。
《このまま、待つか? なにもかも忘れているあの人を、待てるのか…?》
今の悟飯さんはオレを、優しく面倒見の良い兄貴分、と思っている。いつもニコニコ笑ってついてきて、時折はにかみながら一緒に寝て欲しい、と頼まれたり。
なんと理想的な立ち位置。けれど、オレはそれを粉々に打ち砕きたくて、毎日抑え込んでいなくてはならなくて…。
遠く、扉の向こうから淡くも確かに食欲をそそる香りが流れてくる。規則正しい包丁のリズムがトントントン、と平和な空気を醸し出していた。
もし悟飯さんが夕食の準備を終え、呼びに来たら…またいつものように接しなくては…。その為にも、心を落ち着けなくては…。
程なくして、悟飯さんは急ピッチで回復していった。
「ブルマさん! ボク、ナメック星での出来事、思い出しました…!!」
そして、学友である彼等の名も、所属しているサークル仲間の事も。無論、バイト先での諸々の出来事もほぼ、思い出したというのだ。
「嬉しいだなぁ! そんじゃ、おらや悟空さの事も思い出したのけ?」
悟飯さんがどんどん記憶を取り戻していると聞き、駆けつけたチチさんがそう聞くと、孝行息子は「もちろんっ!」と、歯を見せて笑った。
「ただね…そのぅボク…記憶がちぐはぐで、ピッコロさんの故郷に行った時の事までしか思い出せないの。おかあさんにナメック星行きを許してもらった日とか最長老さまとかデンデとかに会ったりしたのはちゃんと思い出せるけど、おとうさんが、地球にいつ戻って来たとか、いつ死んじゃったのか……大体ボクもう大人なのに、どうしてここに至るまでの記憶が無くなっちゃったのか分からない…」
「悟飯ちゃん、もうえぇだ。無理するでねぇ」
「そうよ悟飯くん。そこまで思い出せたのなら直にある日突然、全部思い出せるって! ね? トランクス」
頭を抱え呻く悟飯さんを気遣う母とチチさんを前に、オレは複雑な顔しか出来なかった。思い出してもらえた人々が恨めしいし、妬ましい。母たちが憎い。
だが、真っ青な顔で苦しそうに呻く悟飯さんがあまりに可哀想で、オレは出来る限り優しく穏やかに「大丈夫ですか?」と、手を差し出し、彼の冷たい右手を受け取る。処方されている頭痛薬を飲ませ、寝間着に着替えさせて、彼が眠ってしまうまでずっと、右手を握り続けてあげた。
「悟飯…ゆっくり休んで、早く元気になってけろ」
「トランクス。アタシもそろそろ帰るわ。悟飯くん、また来るわね」
白い顔ですぅすぅと眠る悟飯さんに二人は涙ぐむと、このマンションから去った。
記憶、というのは、あくまで偶発的にしか戻らないらしい。
それもそうだ。…好きで記憶喪失になる訳ではないのだから。
「…大丈夫だよ、悟飯さん。もうすぐ、もうすぐですからね…」
多分、自分に言い聞かせているのが大半であろう台詞に吐き気がする。いかにも相手を気遣い献身的に接しているつもりが実は『このオレの事も早く思い出せ』と念じてしまっている、狡く浅ましい本音が滲み出ていた。
悟空さんチチさん牛魔王さん、クリリンさん、武天老師様に母さん、父さん…ヤムチャさんに、天津飯さん、餃子さん…様々な人達の名が連なる中でオレだけが取り残される。
次々と名を呼ばれ去っていく人の背中を眺めながら『次こそ呼ばれるかな』と待ち続け、最後にぽつんと残ったオレ。…たった、一人で。
オレだけが、仲間外れ、だ。
…と、自虐的な光景を思い浮かべている間に、眠っている筈の悟飯さんが呻きだした。さっきまで白かった顔が真っ赤になり、眉間に皺を寄せて汗を浮かべている。
額に触れてみれば少し熱がある。体調が悪いのか…気付かなかった…。
「…んっ…はっ……はぁ…はぁ…」
「悟飯さん…悟飯さん、苦しいんですか?」
「………っ…」
汗でぺたりと貼付いた前髪をかき分け撫でると、悟飯さんは首を振りシーツをぐっと掴み、荒く呼吸を繰り返した。
《医者は、深刻な病気は無いと言ったけど…》
どうしよう。一応、病院で診てもらった方が良いのだろうか…?
「悟飯さん、悟飯さん、悪い夢でも見ているの? ねえ、悟飯さん…」
火照った頬を軽く叩くと、ぴくりと瞼が動き、薄く開いた唇が酸素を求める。
…やっぱり起こしてあげよう。オレは悟飯さんの両肩を掴み、声をかけようとしたその瞬間だった。
「…ピッコロ、さん…!」
彼の口から零れたその名は、オレのものではなかった。
「………ッ…!!」
ギリッ、と音がたつ程強く歯ぎしりをする。やりどころの無い拳を自身の膝に置くが、震えて震えて仕方がない。眉間から脳天にかけて焼けただれそうだ。
そんなオレの状態など気付く筈もなく、悟飯さんはやっと目を開く。そしてオレに気付き「トランクス、さん…」と、手を差し出してきた。弱々しい笑みだった。
だがオレは、そんな彼の顔を一瞥すると手を振り払った。
「…え…? ト、トランクスさん……?」
悟飯さんは当惑に首を捻ると、今度は顔をしかめ「いたっ…」と、頭を押さえ、助けを求めるようにオレを見る。
だがオレは、そんな彼を心配するどころか波打つ感情を抑えるのに必死だ。
こんなに、想っても。
どんなに、傍にいても。
「なんでですか」
「あ……え、トランクス、さ、ん…?」
詰め寄る荒波と熱さに視界が赤く染まり、オレは、無慈悲で無神経な相手をベッドから壁へと押し付け、怯えた顔すら無視してその手首をぐぃっと捻りあげる。
「何故、なんでオレじゃないんですか!」
「や…やだっ…トランクスさん、い…痛い、よ…っ…」
「なんて、オレ以外の人達は思い出すのに、このオレだけ素通りするんですか!! こんなに色々してるのに、あんた本当はオレなんかどうでも良かったんだろ!? ほら、答えろよ!!」
「…トランクス、さん」
「いつもそうなんだ、あんたは!! どれだけオレが心配して傍にいてもいつも昔の仲間ばかり思い出してた!! ここにいるのはオレなのに、過去ばかり追って、勝手に傷付いて……っ…、な、なんで、オレじゃないんだよ…。どうして、オレを思い出してくれないんだよぉ……!」
オレが惨めに崩れ折れると、相手もベッドから降り、一緒にしゃがみ込んだ。
悟飯さんは、無表情のまま涙を流し、オレを見つめていた。
「…ボクが、一番思い出したいのは…」
それ以上の言葉は出ず、ただ、みっともなく最低なオレの背中を包み込む掌も悲しそうに震えていて。そして…熱かった。
熱があって、頭も痛いのに、この人はずっと…我慢していたんだ。
なのに、泣かせてしまった。一方的に貶して傷付けて…その心まで疑って…。
「悟飯さん…っ…ごめん…っ…ごめ、んなさ…っ…」
床に突っ伏して泣き崩れる情けない社会人の頭を撫で「泣かないで」と抱きしめてくれる悟飯さん。…いくら記憶を失おうと、その優しさは変わらなかった。
「忘れてしまって、ごめんなさい」
…違う。
貴方は、悪くないんだ。
今も昔も、身勝手な想いを抱いていたのは、このオレだけだ。
大事な人達を、故人となった仲間や師を胸に生きる事のどこが罪だというのだろう…?
「うっ…ぐ、ひ、ひぐっ……」
「…トランクスさん…泣かないで…」
高い体温と速い鼓動、相手の香りのする寝間着にぐっとしがみ付いたままのオレに悟飯さんは少し躊躇いがちに「あなたが、すき」と囁いた。
「ボク…トランクスさんになら、何をされても、いい。痛いのだって…なんだって、我慢する。だから、トランクスさん……もしボクが記憶を取り戻せなくても…きらわないで…」
荒い呼吸を繰り返しそう言うと、悟飯さんはオレの顔を持ち上げ、額にキスをした。子供がよくする親愛の証とは異なった、少し長めの口付けだった。その事にオレが呆然、と(みっともない顔で)相手の泣き濡れた顔を眺めていると、悟飯さんは熱で紅潮した頬を更に赤く染めると、オレの目線をどう受け取ったのか、急いでタオルケットを被り全身を丸めた。
「す、すみません……き、…気持ち悪い、こと…しちゃって…」
布地を掴む両手を恥じるように震わせ、消え入りたいと云いたげな弱々しい声音で自分の行動を打ち消そうとする悟飯さん。彼は「もう寝ますから、お仕事してて下さい」と、投げやりだ。
———痛いのだって…なんだって、我慢する……か。
それは、さっき強く壁に押し付けた事だろうか。それとも…?
《勘違いするな…この人は、子供なんだ。そんな訳ない。他意は無いんだ》
首を振り、浮上する己の劣情を打ち消すと、それより先刻しでかした非情な振る舞いに我ながら恐ろしくなり、どれほど相手の心情を抉り傷付けたかを考えると苦しくなり始めた。
「悟飯さん。何か欲しいもの、あります? 取り敢えず頭を冷やす物、持ってきます」
タオルケットに包まれた悟飯さんがおずおずと「冷たい飲み物」と言ったので、台所に戻り、氷枕を作り、ついでに残った氷をオレンジジュースに浮かべた。飲みやすいようにストローもさしておく。
そして再び寝室に戻れば上半身を起こしていた悟飯さんが「……っ…」と、息を飲んで頬を染めると、またタオルケットに潜り込むではないか。何をそう恥ずかしがっているのか。さっきのキスか? ならオレは寧ろ嬉しかったんだけど。
「ほら悟飯さん、飲み物持ってきましたよ」
グラスをナイトテーブルの上に置き傍らに腰掛けると「そんな事してると熱下がりませんよ」と、無理矢理布地を引っ剥がしてやった。ぷはっ、と現れた悟飯さんはいやいやと首を振り、オレから顔を背けた。耳は真っ赤なままだ。あまりに可愛くて、可哀想で、胸がぎゅっと締め付けられる。
「あ……やっ、……んっ! …ん、んんっ…」
仰向けに寝かせた相手の唇に、オレのそれを重ねる。
悟飯さんの両手が、ぎゅっ、とオレの襟元を掴んだ。
熱を含んだ唇を優しく丁寧につつき、怖がらないよう、そっと、少しずつ舌でなぞるとその睫毛に涙が溜まっている。完全に中に潜り込むと、悟飯さんの目尻から幾筋もの涙が次々と伝っていった。
「ふっ、はぁっ、ア……」
「…口の中、熱いですね」
「…………」
「目を閉じて。飲み物、飲ませますから」
カラン、と氷とグラスが触れ合う音を合図に、よく冷えた甘酸っぱさを口に含み、オレは再び悟飯さんの唇に自分のを押し付け、隙間の無いように密着させると舌を差し込んで相手の口へとジュースを流し入れた。
最初はほんの少し。湿らせる程度に。それでも悟飯さんは何度も咽せ咳き込んだのだが、次第に慣れてくると自分から舌を差し入れてジュースを飲み干していった。
最後の一口を終えると、悟飯さんは困ったようにオレを見つめた。
「…トランクスさん…あ、あの…」
「はい?」
「どうしてこんなに、優しくしてくれるの……?」
「好きだから、ですよ。だからさっきは、みんなに嫉妬していたんです」
彼の横に寝転がり、頭をポンポンと叩くと相手は目を丸くして、また頬を赤らめる。どうしてそう顔色を自由自在に出来るんですか、そうからかうと悟飯さんは「もうひどいっ」と、そっぽを向き背を丸めた。
「ねえ、ボク…何時になったら、トランクスさんの事、思い出せるのかな…?」
ぽつりと零したその本音は、先刻投げつけた暴言とリンクしてまた胸が痛くなる。相手とてそれは同じだ。いたたまれなくて、肩身が狭くてたまらないのだろう。
「悟飯さん、ちゃんと眠って。今日はこのまま一緒に寝てあげますから」
オレの言葉に悟飯さんは「うん」と頷き、オレに身を寄せて寝息をたて始めた。額に手をやると、熱はほぼ下がっていた。目尻と頬に残った涙の跡が痛々しい。
———相手は、子供だ。さっきのはきっと、熱がそうさせていただけだ…。
しかしはね除けるにはあまりに甘美で抗い難い、悲痛な訴えだった。
…To be continued…
第三弾でとうとう悟飯さん完全にアレになった! なんだねこれはもう悟飯さん、じゃなくて悟飯ちゃんでいいや…。うん、トラは酷い。あんた反省してもっと優しくすべきですよ!?
しかしなんて都合のいい展開…うんでももういいや…好き勝手書くんだ…(←まだ続きます)。