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高宮あきと云う奴によるDBトラ飯ブログです。pixiv(9164777)もやってます♪主に女性向けなので、嫌悪感じる方はご遠慮下さい(汗)。


by synthetia

未来トラ×飯駄文でGo!(更新)

気分のまま書き進めた恐ろしいほど崩壊しきった駄文です(汗)。
(Web拍手のポチポチで気分がアゲられた結果です→調子に乗っている、とも云う状態…)

・トランクスの性格崩壊!
・悟飯さんの性格もやや崩壊&完全乙女
・周囲のテンションもヤバめ
・というか男同士でナニやってんの?


…以上を踏まえた上で尚『いいよ』と云う勇者さまは先へお進みくだされ!









 …あんな事、しなきゃよかった…俺の馬鹿バカばか…!

《後悔したって、―――この現状は変わらないんだよなぁ…》

「綺麗ですよ、悟飯さん」
 は? 大丈夫かその頭! というか目を醒ませトランクス!







 *大掃除していたら
  花嫁にされてしまいました*










 事の始まりは、一週間前から実家へ里帰りしていた俺だったが、
「悟飯ちゃん、ちょっくら掃除やってけろ」
 暇を持て余していたこちらに母は、物置になっていた母屋の清掃を命じてきた。
 埃をかぶった箱がわんさかしている空間を片付けるのは快感でついハイテンションになっていた矢先。
「あれっ……なんだろ、この箱」
 ひときわ古く大きな箱がふたつ、淡い桃色と水色のそれは仲良さそうに重なっていた。
「軽い……」
 大きさの割に軽いから、中身は壊れ物ではなさそうだ。
 意を決した俺は、箱の蓋をそっと外す。水色の箱の中身は、艶のある白いタキシード。桃色の箱のほうは…、
「うわぁ…っ、綺麗…!」
 女の子ならきっと手を叩いてはしゃぐんだろうな、こういうの…。夢見たいにすごく綺麗。窓から射す自然光に照らし出された純白の、ウェディング・ドレス。少しだけだから、と手にしてみたそれは軽く、空気の抵抗すら感じさせない。
「…これ、おかあさんのかな?」
 そうそう。昔よく聞かされたなぁ、おかあさんとおとうさんの結婚式騒動。
 確か、フライパン山が火事になって、その火を消す為におとうさんとおかあさん二人が色々な所に飛んでいって、火食鳥の殻とか、珍しい蜂の蜜を持ってあの世の入口に行ったとか…とにかく、やっとの事で結婚式あげたんだぞ、とか、タンゴ覚えるの大変だったぞ、とか……。
「ふぅん、小さいなぁ。おかあさんのだもんね」
 俺はドレスを手にとりフワフワしたドレスを陽の光に透かす。胸元を飾るであろう部分は真珠とレースを縫い付けてあって、光線の角度で虹色に光っている。艶やかな表面は触れるとひんやりして、つるつるする。夢見るフリルが空気の抵抗で儚げに揺れ、まるでおとぎ話に出てくる妖精みたいだと思った。

 …笑われそうだから誰にも打ち明けていない秘密。
 俺は…綺麗な物が好きなのだ。

 とはいっても、特別な嗜好を持っていると云う訳でもなく。ただ純粋に眺めるのが好きなだけ。そう、綺麗な蝶とか、ステンドグラスとか、凝った細工物もそうだし、巧みに編まれたレースやフリルも観賞している分には楽しいし目を楽しませてくれると思う。
 でもいかんせん俺は、男だ。しかも散々『泣き虫』だのと言われ続けたから、ちょっとでも性別を疑われるような材料は抹消すべき。だから俺がこういう綺麗な物に目がない事は、誰にも言っていない。
「少し風に当てた方がいいのかな。…しまいっぱなしじゃ湿ってしまうしね」
 おそらく父が結婚式で着たであろうタキシードとそのドレスを並べてその場にあった籐椅子にふんわりとかけて、俺はかつての両親を想像し穏やかな気分に浸る。可愛くて華やかな母と、精悍で凛々しい父の晴れ姿。
 あろう事か俺はそれを、トランクスと自分に重ね想像してしまう始末。
 バカか俺は! …そんな気色悪い妄想は消し去ってしまえ…!!

「さて掃除の続きをしないと……って、あぁ、これは…」
 ピンクの箱にはもう何も無いと思っていたのに、それは控えめに収まっていた。白い花飾りのついた、朝霧のようなヴェール。可憐なそれをそっと摘んでみる。ドレスもそうだったように殆ど抵抗を感じさせず、儚げな薄衣は空気のようにフワフワしていた。
「綺麗だなぁ。こうして陽に透かすと、虹と光だけで出来ているみたい…」
 ヴェールを上にかざし、くるくる、くるくる回って、誰も見ていないのを良い事に俺はつい結婚行進曲を口ずさみ、可愛い花飾りに触れてみたり、ふざけてその花嫁のヴェールを頭にかぶせてみた。
「たんた〜かた〜ん♪ たんた〜かた〜……っ…へっ…!?」

 俺も平和ボケしていたんだ、と今なら本気で思える。
 だってそこにうちの母親とトランクス二人が目を丸くして固まっていたんだから…!!
「ふっ、二人とも何してる、の…」
 慌てふためいた俺に母は「トランクスさの仕事が早く終わったみてぇで…」と簡潔に状況を説明する。
「いや…失敬。貴方があまりに可憐過ぎて、オレの『ゲイ・ボルク』が発動するところでした」
 …は? な、なに意味不明な台詞吐いているの…!?(ちなみに宝具の名前出したらファンがうるさいぞ!)
 それはさておき、問題は母だ。謝らなくちゃ!
「ご…っ…、ごめん、おかあさん!」
 頭にかぶっていた薄いヴェールをすぐさま外すと、花飾りがとれないよう注意しながら折りたたみ、俺は急いで母へと渡した。
「悟飯ちゃん、おめぇ…」
「わぁっ、ちがう、違うよ!? あ、あの…虫が穴あけていないかどうか確認してただけで……。ほら、俺は男でしょ!? そんな事するわけないじゃない…?」
「…めんこいだ…」
「はい?」
「まるで天使みてぇにめんこいだよ、悟飯ちゃん…!!」
 はいぃぃぃ!?
「トランクスさ! 早速準備をするだ!!」
「はい、お義母さん!!」
 なに二人で手を取り合って通じ合っちゃってるの…。
 というかトランクスお前今さり気なく『お義母さん』って呼んだだろ…!! 






 かくして事の決まった当日中に、あれよあれよと言う間もなく…。

「本日はお日柄も良く…」
「いきなりだったけど、なんとかなるものよね~」
「いんやぁまんずまんずめでてぇこった!オラ孫の結婚式まで生きられると思わなかったべぇ!」

 白基調で可愛らしい外観とは裏腹に、内部はロココ調でずっしりした印象。
 ———俺達(家族含む計5名)は、荘厳華麗なチャペルの中にいた!

 いきなり『結婚式やりましょう』って展開になって気付けば此処を貸し切りで「今日半日好きに使えるから」と、得意げなトランクスに俺は「安くないだろ、大丈夫なのか?」とヒソヒソ声で問えば、
「なに、ウチの資産と人脈を駆使すれば、こんな教会のひとつやふたつ秒単位で買収出来ます」
 とかまぁ、アホ弟子は俺の前でふんぞり返って偉そうに足を組んで座っていた。
 …白のタキシードで身をかため、靴は先程特注で取り寄せた品らしい。
「悟飯さん用もオーダーしときました」
 とか言って差し出してきた靴は…、
「こんなの履けるかっ!」
「特注のクリスタル製ですが気にいりませんか?」
「ハイヒールだろ、これ! 俺は男だ、男!」
 え~残念、似合ってるのに…と、訳の分からない言葉を吐き、口元を尖らせたトランクスは更に「ドレスも着ましょうよ」と詰め寄ってきたので、俺はバキン、と殴った。

 控室で着替えたのはトランクスだけ。
 俺は、普段大学に通っている時と同じ服装だ。ただ、シャツはおろしたてだし、スラックスも白に映えるよう出来るだけ淡い色のものを選んだ。
「悟飯さんも、おめかししましょうよ~…」
「ダメです。ノー」
 だって俺は地味だし、着飾ったところでこいつとは不釣り合いだ。
 それなら簡素なほうがいいさ。金かけなくても構わない。
「俺は、これで充分だよ」
 さてそろそろ出るか、とドアに向かった俺の頭部に奴はそっと『なにか』をかぶせてきた。
 そう―――この茶番の元凶―――花嫁のヴェールを。
「やめんかい!」
 思わずむしり取ろうと伸ばした俺の手をガシッと掴んだトランクスはそのまま俺の唇を奪った。
「…可愛いですよ。本当に、似合っている…」
「う………」
 顔が赤くなってくのが分かるから余計意識してしまう。たまらなくなった俺は目を逸らし「『可愛い』なんて言われても嬉しくない」と、捨て台詞を投げ、振りきった。
「これは、つけてやるよ。じゃないと結婚式らしくならないからな」




 結婚行進曲の流れる中、俺ら二人(本当は新郎が先に入場するらしいけど)はビロードの上を歩く。何故だか知らないが花嫁のヴェールだけでなく、ブーケまで持たされた俺は赤面しながらしぶしぶ歩を進めた。
 …あ、神父さんまでいるのか…。凄く本格的だなコレ(こんなの所詮『ごっこ』なのに…)。

 後方の席にはブルマさん(派手)とうちの母親(負けてないなぁ)、そして牛魔王おじいちゃん(礼装らしいけど…なんかコワイ)がそれぞれのコメントを投げてくる。
「男前よトランクス!! そのまま悟飯くんのハートをガツンと奪いなさい、ガツンと!!」
「綺麗だぞ~、悟飯! 天使みてぇにめんこいべ!! 一生、トランクスさ(※貴重な金脈)を手放すでねぇぞ〜!!」
「がっはっは、めでてぇ!! んだども、どうしてこう涙が出るんだ…うぅっ、あんなにこまくてヨチヨチ歩いてた悟飯がよぉ…う、うわあぁぁぁぁ…っ!! か、可愛いオラの孫が、とうとうヨメにいっちまうだなんて…ぐうぅぅ!!」

 …果たしてこの平和は皆にどう作用したのか知らないが…。
《みんな頭どうかしちゃったんじゃないの…!? 明らかにおかしいだろコレは!!》
 厳かな雰囲気に包まれたチャペルに、神父。そこを歩いているのが…男だぞ、男! しかも筋肉ガチガチな野郎二人組のうち一人は花嫁のヴェールをかぶっているんだぞ…正気の沙汰ではない。此処はチャペルと云う名の、見世物小屋か…。
 …で、野郎二人組の片割れは、といえば…。
「…あぁ悟飯さん…まるで光の妖精! 可憐で初々しいですよ…」
 何か明らかに変なフィルター(※トランクス仕様)越しに俺を見つめてます。
「気持ち悪いからもっと離れて歩け、バカ」
「照れているんですね。ふふっ、そんな所も愛らしいですよ…」
 なまじ王子(※血筋からいうと本当にそうだが)面しているからタチが悪い、と本気で思う。なんだその目は! 美形がうっとりしているとこんなにも気味悪いとは今日この時まで知らなかった。こいつやっぱり頭が変だ…。
「あぁ早くこの式終わらせたらオレの『エクスカリバー』を鞘に収めさせて下さいね。さっきから疼いて疼いて、悟飯さんという『鞘』を求めて大変で、」
「ワケ分からない事くっちゃべってないでとっとと歩け、ボケ。そして宝具の名前は控えなさいファンが怖いから(※ホントにこわいんですからね!)」
「悟飯さん色が白いから、ヴェールが本当によく映えて、眩し過ぎて貴方を見失ってしまいそう…」
「やめろ本気でやめてくれ。絶対お前は病気だトランクス」
「『恋』という名の病ですか、悟飯さん」
「やめんかい。ほら、神父さんの目の前まで来たぞ」



 神父さんは白いヒゲの、とても優しそうな顔をしたお爺さんだ。
「え〜…汝トランクスは、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「新郎となる私は、新婦となるあなたを妻とし、良いときも悪いときも、富めるときも貧しきときも、病めるときも健やかなるときも、死がふたりを分かつまで、愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います」
 …あ、そういうものなんだ。随分長い台詞だな…って、
《いきなり本番かよっ!?》
 それにしちゃトランクスの奴、全くつっかえずに言っているな…凄いけど、どうしてなんだろ。俺はそういう方面に疎いから、なんとなくでしか知らないぞ…。
「汝、孫 悟飯は……」
 うそっ…え、えぇと…もっとゆっくり喋って下さいませんか…俺実は本番とか即興でって云うのは苦手で、ピッコロさんとの修行中はそこそこイイ線いってたのにナッパの奴にはとことん圧されっぱなしでしたそしてえぇと人造人間達は全く倒せず仕舞いで…、
「…れを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
 え…あ、終わっちゃった…どうしよう…?
 えぇと…確か…どうだったっけ…。
「…し、新婦(それでいいのか俺!)となる…、………新郎、となる…」
 つっかえつっかえで遂に次の句が続かなくなくなった俺はぎゅっと目を閉じる。すると、真横から低く甘やかな声が俺の後を引き継ぐように続ける。
「…あなたを妻とし、良いときも悪いときも、富めるときも貧しきときも、」
 頭が真っ白になりかけた俺の右手をトランクスがぎゅっと包み込んで、迷うこっちを先導してくれた。だから俺もその後に続き、彼の紡ぐ言葉に同じ句を乗せ、謳う。
「病めるときも健やかなるときも…」
「…死がふたりを分かつまで、」

 ———愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います。

 やっとそこまで言い終えた途端、感極まったのか、うちの祖父が号泣した。
 しまったコレは茶番だった…!! 真面目に緊張して損した…。
《しっかりしろ俺…!》
 真横のトランクスはと云えば何だかしまりの無いニヤニヤ顔で、これがあの、CMや雑誌で有名な会社のトップかと思うと恐ろしい。
 そして頭上から鐘が鳴り響く。
 神父さん、なにか持ってきた…っおいっそりゃ本気か…!?
 指輪!! 白銀の、指輪!?
「それでは、指輪の交換をどうぞ」
 神職者の誘導に、トランクスは至極当然と云った態で指輪を受け取り、するっと俺の左手をとって薬指へとはめた。指輪はどうみても安物でもレンタルでもなさそうだった。よく見るとダイヤらしい石がついている…(しかもサイズがぴったり!)。
「さ、悟飯さんもオレにはめて下さいね…?」
 う……やっぱり気色悪い…でもさっさと終わらせないと出られそうにもない。
 俺は指輪を手にし、ガッとトランクスの左手を捉えてグリッと差し込んだ。
「うっ! ご、悟飯さん、もっと優しくそっとはめて…!?」
「うるさい。ほら終わったぞ」
 ふぅ。えぇと後は…なんだったかな? ウェディングケーキも無さそうだし、確かこのブーケをどっかに投げりゃ終わるんだったかな…。
 ひらひらと頬をかすめるヴェールを横目にやれやれ、と、頭を掻こうとした俺に最大の受難が待ち構えていた。

「では、新郎と新婦は最後に、誓いの『キス』を…」

 ————————!?
 み、みんないるぞ…いるのに、見ているのに、そんなコレ『ごっこ遊び』でしょ、まさかそこまでやらなくても…、

「トランクスっ!! ガツンといきなさいガツンとっ!!」
 どこか面白がっている響き…くっそブルマさん煽らないで…!?
「悟飯ちゃん、気後れするでねぇ! リラックス、リラックスゥ!!」
「安心するだ悟飯!! おめぇの父ちゃんはキス、上手かっただぞーっ!!」
 …俺はもう何を信じたらいいのか分からなくなってきたよ…。

「悟飯さん、綺麗ですよ…」
 ヴェールをそっとかき分け俺の頬を包み込んだトランクスは、ここ近日見せなかった真剣な目でこちらを凝視している。アップで観察するとこいつは本当に綺麗に整っていて、神様は不公平だなって本気で考えた。
 不特定多数が息を殺して眺めている中、トランクスに顎を持ち上げられた俺は情けないほど、呼吸も両手も背筋も全部震わせて、自分の体重さえ忘れてしまいそうな緊張の中、迫りくる真正面の顔を見つめていた。
 見覚えのある、ずっとずっと昔から好きだった宝石にも似た蒼。
 淡いラベンダーの、不思議な色合いの銀髪。
 どんな時も一緒に過ごし、苦しい状況や哀しい時間も耐え、共に乗り越えてきた。多分、両親よりも、深い部分で繋がり合っていると本気で思えるし、彼の為なら何でもしてやりたいと常日頃願っていた。

 …だけど、コレは…あり得ない。
 興味津々にキラキラ目を輝かしているブルマさんや、真っ赤な頬を覆ってその瞬間を待ち受けている母…目を丸くして凝視する祖父…。
《いやだ、やめろやめろって! …い、息、ぶつかってる! …あ、》
 やりどころの無い両手をぐっと握り、徐々に顔を近付けるトランクスに俺は懇願の意を込めて、どうかこれ以上近付かないでほしい、と強く願った。
「愛していますよ、悟飯さん…」
 キミにキスされるのが嫌な訳じゃない。だけどこんなのは、嫌だ。俺達は見世物じゃない…。
《やめてくれ》
「悟飯さん……」
 睫毛の数も数えられるんじゃないか、という距離まで来た時、不意にトランクスはぴたりと動きを止め、身を屈め素早く俺をふわりと持ち上げた。足をすくわれ、俺は「ぎゃあ!」と叫んでしまう。
 ななな何をするんだトランクス……!?

「すみませんちょっとだけ悟飯さん借ります…っ!!」

 騒ぎだす面子とチャペルが真下へ遠ざかり、あっという間に俺達は上空に。
 所謂『お姫様抱っこ』とかをされた俺は、トランクスの両腕の中で手足をジタバタさせながら「放せっ」と、もがいた。
「いやぁ良い天気ですね。これならハトも飛ばせるかな」
「…いいから放せよ」
 何バカな事やってるんだ、と詰れば、
「悟飯さん泣き出しそうな目をしてたんだもん」
 と、相手はこちらの額にキスを落とした。
「…悟飯さん、恥ずかしがり屋でしたよね。忘れてました、ごめんなさい」
 そこがまた可愛いんだよなぁ、とニヤけるバカ社長の頭を、俺は軽く殴る。
「人の事からかって楽しいのかキミは。悪趣味過ぎる!」
「悟飯さんが可愛くて綺麗なのは、本当ですよ。ああもう本当に可愛くて、チチさんも、悟飯さんのあの姿にほだされて…良い感じに事が進んだなぁってオレ感激しているんですけど、いけませんか?」
「…そこんとこが俺にも理解出来ない」
 俺に対しての妙なフィルターがかかったこいつはともかく、まさかうちのおかあさんまでが、この茶番を本気で遂行するとは…平和ボケって本当、恐ろしい。
「頭が痛い…もう早く家帰って寝たいよ俺は。とっとと終わらせて休ませてくれ」
「…そうですね。オレの仕事もカタがつきましたし、そろそろ寂しくて限界だったんです。この一週間、悟飯さんはオレに会えずに寂しくなかったんですか?」
 ———それとも、久し振りの実家で、オレの事忘れていましたか?
 そう問われた俺は滲む視界の先で微笑するトランクスをじっと見つめてから、首を横へと振り、その首へとしがみ付いた。聞くなよそんなの。答えたらもっと、とんでもない顔しちゃうだろ…。

 突風が吹き、俺とトランクスは慌てて飛ばされそうになるヴェールを死守し、同時にプッと吹き出した。
「…どういう状況だ、これ」
「でも本当に似合っています。貴方には陽の光と淡い色が良く似合う…」
「それ言うならキミの方が似合うと思うよ。…キミの方が、俺なんかよりずっと綺麗で素敵だ」
 我ながら歯の浮く台詞だが、心底本気でそう思っているんだ。彼の肩越しに続く青空はその鮮やかな蒼の美しさを連想させ、地上に咲き誇る可憐な花々の中に彼の髪を思い起こさせる色彩がある。レースや宝石といった美しい物は、地味な俺などより彼の方が余程似合う。
「トランクス、これ、かぶってみるか?」
「いえ! それはチチさんが息子の悟飯さんに託したものですよ!? それに、本当に似合っていますから外さないで!! いつまでも眺めていたくなるくらい、可愛いし、綺麗なんですから…」
 ああ、また始まったこいつの病気。なに頬を染めてんだ…。
「悟飯さん…まるで光の妖精…オレのファム・ファタル…運命の人…」
「やめんかい」
「いいえやめません」

 ———もう我慢出来ません。

 そう告げ、トランクスはゆっくりと顔を近付け、額をコツンとあててから優しくキスで覆った。ヴェールと奴の前髪がさらさらと風に揺れていた。上空の風がとても冷たい所為で、彼と触れている箇所がより温かく感じられる。皺が寄ってしまう事さえも忘れ、その襟元にしがみ付く。
「…悟飯さん、オレ伝えましたっけ? オレは、貴方のその目と髪の色がとても好きなんです。深く穏やかで、凛としたその色がオレはとても、大好きだ」
「やめろよ。…こんなの全然、綺麗じゃない…」
「その顔も、鼻も、唇も、整った身体や手足も全部オレのものになるのだと思うと、オレはたまらなく身体の奥から熱いものが込み上げてきて…どうにかなってしまいそうです」
「俺なんかで良いのか。今からならまだ引き返せるぞ」
「また、そんな事言って。…本当は寂しがり屋で泣き虫なの、知っているんですよ? 心にもない強がりを言うのなら、オレ泣いちゃいます」
「泣くなよ、馬鹿。…確かに今日はやり過ぎだとは思うけど…俺、嬉しいよ…」

 エンゲージ・リングをはめられた左手を陽にかざし、俺は心からの感謝をトランクスへ告げ、今度はこちらから『誓いのキス』を贈る。

「さ、チャペルへ戻ろう。みんな心配しているだろうしな」

 真っ赤なトマト色になったトランクスを眺め、指先で地上をちょいちょい指すと「このまま戻ってくれ」と、『お姫様抱っこ』のまま教会へと降りる。戻ってきた俺達に安堵したらしい関係者が駆け寄ってくるまでの間、トランクスは「もう少しだけ悟飯さんを感じていたい」と、解放してくれなかった。
「は、放せよ馬鹿…っ、みんな来ちゃうだろ…」
「だって悟飯さん可愛いし綺麗なんだもん。まるで花の妖精みたいで可憐だ…」
「だから言ってるだろ、俺は男だし、『可愛い』ってのはあまり嬉しくないんだってば!」
「でも悟飯さん本当は『可愛い』って言われるの、嫌いでもないんでしょう?」
 ベッドの中ではあんなに反応するじゃないですか…とニヤけ顔の馬鹿に、俺はガツンと一発かましてスッキリした。
「このままでいたいなら勝手にしろ」
「え……? い、いいんですか、本当に…」
「俺は疲れて頭が痛いんだ。責任もって、家までずっとこのままでいさせてくれ」
「悟飯さん……」
「…断らないだろ? それに俺も、本当は…嫌じゃないんだから…」

 チャペルの鐘がまたひとつ鳴り響いた。そして白鳩が祝福の象徴として上空を舞い、ようやく地上に降りてきた俺達の元へ母とブルマさん、そして祖父が「ナニ二人だけの世界に浸ってんのよ…」と講義しだした。
 何時もならば照れ隠しのひとつやふたつ持ち出しぱっと離れるだろうけど、この日だけは恥も外聞も無く、何も気にせず互いを感じ合っていたい。

 黄昏時まであと一時間をきった蒼天の下、俺達は虹色の光の中でくるくる回り、花の咲き乱れた中庭で相手の顔を見つめ合いながら笑い続けた。



 ———夢色の光を弾くヴェールが、幸福の刻を軽やかに、舞った。






 END. 



悟飯さんきっと綺麗なモノ眺めるの好きなんじゃねぇかな〜…と思うのは私だけ(汗)?
そそそして…そして!高宮が密かに憧れてやまない絵師さまの美麗なイラストや、可愛いイラストを描かれる絵師さまのトラ飯見たらたまんなくなって…ついやっちゃいましたええもう勇気無いんでここでひっそりと告白させていただきます!!いつまでも好きです大好きです…っ(泣)!!

チチさんとしては、悟飯が乙女なとこ見てツボにハマると良いですv
トランクスとの関係を許したくない、許し難いと思っていた矢先に、健気に「た〜んたかた〜ん♪」なんてヴェールひらひらさせて踊っていたらキュンときませんか〜!? 私ならクルね!!
おめでとう未来師弟…。彼らに幸あれ!!

ってなワケで書きたいネタ一つが終了。
もう一つあるのですが、流石にもう暫くは控えます…(汗)。
by synthetia | 2014-10-13 00:33 | 駄文 | Comments(0)