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高宮あきと云う奴によるDBトラ飯ブログです。pixiv(9164777)もやってます♪主に女性向けなので、嫌悪感じる方はご遠慮下さい(汗)。


by synthetia

トラ×飯SSというか、書きなぐり。2

この頃、頭痛も少ないし、調子良い内にちょいっとネタ出ししたくて。
あぁ…夏コミ受かっちゃったYO…バカバカワシの馬鹿! こんな事する前に新刊にとりかかれっちゅ〜のぉ〜…(泣)!!

さて、そろそろ晩飯作らないと『探偵はBARにいる2』始まっちゃうし!
ではでは…拙いネタではありますが、宜しければどうぞ!








 ここ一番肝心な日に、避けられないアクシデント発生。

「すまん……俺に構わず、行ってくれ……」

 復興5周年を祝してのセレモニー開催当日…我がパートナーは、38度7分の高熱を出し、倒れてしまった。普段からの無茶な深夜アルバイトがたたったのだ。
「どうしたもんかな。…俺、こんなにヤワだったっけ…」
「知りませんよ、もう。兎に角じっとして、目を閉じてて下さい」
 真っ赤な顔してはふはふ喘いでいる悟飯さんをベッドに寝かしつけ、オレはスーツ姿のまま彼の傍らPDFに目を通しているが、内容など全く頭に入らないのは言うまでもない。

 そもそもこの人ときたら本当、自分を粗末に扱い過ぎだ。
 たとえ強靭な肉体を誇る身の上だとしても真夜中過ぎまで働いてから碌に寝ず、次の日も当たり前に通学し、この家の切り盛りまでしているのだ。そりゃあ倒れない筈がない(学業に専念して下さい、と言ってもきかないし…)。

 昨晩からして変調の兆しはあった。
 彼が拵えてくれた夕食は普段通り美味かったのだが、悟飯さん自身はあまり手を付けていなかった(それでも二人前は胃に収めていたけど)。それに…こう言ってはなんだが、いつもなら柑橘系の爽やかな香りのする髪が、昨晩は違う匂いがしたので「おやっ?」と感じてはいたのだ。
 そして今朝、いつもならオレより早起きである筈の悟飯さんがのろのろと起き、気怠そうに動いていたのもおかしかった。かろうじて用意してくれた朝食はベーコンエッグとトマトに、トーストのみ。もそもそ、と、まるで紙でも口にしているかのように咀嚼する仕種に、流石のオレも異変を嗅ぎ取らずにはいられず…。
『悟飯さんっ、ちょっと!』
 待ったと言わせず、その額に手を当ててみれば案の定、酷く熱くて。
 そして、体温計を咥えさせてみれば…この事態だったと云う訳で。

 よく観察すればその頬は赤く、色を失った唇は酷くかさついていて、おまけに潤んだ目元は充血しているじゃないか。どうして気付いてやらなかったのか…オレはオレ自身を叩き付けたい衝動にかられたが、今はそれどころじゃない。数時間後にはセレモニーでのスピーチも待っている。
 せめて寸前までは悟飯さんの傍にいてあげなくては…。





「俺なら全然、大丈夫だよ。この程度ならまだ動ける」
 起き上がろうとする彼を寝床に押し付け、書類を読み進める。
「…だから……おい、聞いてるか? 俺なら本当に大丈夫だと、」
「はいはい悟飯さんは全然、大丈夫じゃないです。昔っからそういうとこありましたし、周囲としては甘えてくれた方がまだ有り難いですよ! …で、本当に病院行かなくていいんですか?」
「もう。こっちも子供じゃないし、たかが熱だけだろ。休日の診療は金がかかるし、俺は解熱剤飲んで寝ていれば直ぐに良くなるから、さっさと仕事行けよ…」
「はいはい言われなくても行きますよ。…でも悟飯さん、本当に、ちゃんと寝ていて下さいね? じゃないとオレはスピーチの最中で貴方の名前を叫びそうになる…」
「そんな大袈裟な……ほら、原稿読むなら自分の部屋にしろ。大丈夫、ちゃんとじっとしてるから…」
「本当ですね? オレが席を外した途端、掃除機かけたりとかしないでくださいよ?」
「しない、しない。指切りげんまん、しよう、な?」
 タオルケットからにゅっと出された左手と、所謂『約束の儀』を交わす。
 ホカホカ茹だった悟飯さんは朦朧とした態で「ゆ〜びき〜りげ〜んまん、う〜そつ〜いたら…」と舌足らずな口調でそれを歌い、ニッコリ笑う。
「トランクス、大丈夫だよ。今度はもう、いなくなったりなどしないから」
「…本当、ですね?」
「うん、本当。…あ、自分の部屋行く前に…なにか冷たい物をくれないか」
 オレはよく冷えた水に食塩をひとつまみ加えたものと、氷を詰め直した氷嚢を彼に与えると、言葉に甘えて自室で演説用の原稿と格闘した。





 それから。
 三時間が経過し、そろそろ出発しなくてはならない頃合だが…。
「弱りましたね。…熱、上がってしまいましたか…」
「……ああ。でも、気分はそれ程、悪くないから…」
 39度2分。彼に咥えさせた体温計は無慈悲な結果を突きつける。
 母に頼ろうにも、彼女自体がけして外せぬ存在で、代打がいない。となれば矢張りオレが欠席し、その分を母に任せるしかない訳で…。
「悟飯さん、やっぱり病院、行きましょう」
 スーツを脱ぎ捨てようとするオレだが、朦朧としている筈のパートナーが殊の外しっかりした仕種で起き上がると「お前は行け」と鋭く言い放つではないか。こんなに熱くてフラフラなのに、どうしてそう頑固なんだ、この人は。
「『行け』と言ったって…嫌ですよ、こんなに具合悪い人置いていくのは…」
「俺の所為でお前の晴れの姿を奪うのはもっと辛い。…そのぐらい、理解しろ」
「でも、」
「そんなに心配ならば、キミの秘書さんでも呼べばいい。せいぜい、俺の見張りでもさせておけばキミも安心してスピーチが出来るだろ。違うか?」
 汗で貼付いた髪を払いのけ、悟飯さんは不敵な笑みを浮かべる。
 そうか、その手があった……!!

 焦る気持ちを抑え、震える手で登録済みの番号へ繋げる。
 祝日問わず働き者の秘書は、たった1コールで電話に出てくれた。
 そして、事情を説明する。
『成程。で、私は孫 悟飯さまの看病をすれば宜しいのですね?』
「ああ…オレは自分一人でも充分だし、もし急な事態があっても副社長同行だから大事には至らない筈だ。それより…頼めるかい?」
『ええ、全く問題ありません。この場合も出勤手当は頂けるのでしょうか?』
 現実的な問いに雇用主としてイエス、と返答だ。仕方ない。
『私、その方には大恩ある身の上ですから。…当時の私を意地悪い少年から庇っていただき、あたたかな衣服を頂いた恩がございますからね。…社長、私、喜んでその大役勤めさせていただきます』
「…おいおい忘れてくれよ。あれは若気の至りだ」
 スケジュールを確認し通信を切ると、オレは悟飯さんに事情を説明し身支度を整えた。丁度良い頃合、仕事上のパートナーもこちらへ到着する。彼女は本当に気が利く。スポーツ飲料と氷菓子、果物を携えての登場だ。
「それでは社長、こちらはお任せ下さい」
 一礼する秘書にオレも会釈し、後は頼んだ、と駆け足で駐車場へと向かった。
《おとなしく待ってて下さいね…悟飯さん!》
 最後に見た悟飯さんはもう逆らう気力も無いのか、ぐったりしたまま胸を上下させ、額に沢山汗を浮かべて眠っていた。…本当ならいつ意識を失ってもおかしくないのに喝を入れてくれた彼がたまらなく愛おしく、恋しかった。





 ———都のシンボルとなっている展示場でのセレモニーは無事、終了だ。
 過ぎる時間の早さっていうのは、どういう定義なのだろうと本気で考える。嫌な事をしている時ほど長く感じると思ってきたのに、今日はあっという間だった。

「流石、アタシの息子! 堂々としてて頼もしかったわよ」

 実をいうとオレは、自分が壇上で何を語り、どういう表情していたかなんて全く憶えていやしないのだ。…恥ずかしい話だが、本当だ。
「大盛況でしたね」
「復興して以来のイベントだしね、当然よ。…ああ、そうそう、悟飯くんは大丈夫なの? 高熱出したって言ってたじゃない」
「かあさん、後は任せても大丈夫ですか?」
 控室で貰ったペットボトルの水を一口飲むと、オレは母の了承を得てすぐさま愛車を飛ばし、我がマンションへと急ぐ。その際、秘書への連絡も忘れない。…悟飯さんは薬を飲み、軽く食事を摂ってよく眠っているというので安心したが、顔を見るまではどうにも焦燥感が拭えない。
 …あぁっもう! どうして車で来たのだオレは! えい、このポンコツときたら鈍くて、これじゃ何時までたっても悟飯さんの元へ帰れやしない…!!





「社長、お帰りなさいませ。演説はうまくいきましたか?」
「まぁまぁ、だな。…それより、悟飯さんは…」
 玄関先で慌てふためくオレを余所に彼女は「明日のスケジュールの確認させて下さい」と、早速業務にご執心だ。くそ…仕方ない。
 時間にして十分も経たぬ頃、彼女は眼鏡の奥から覗くグリーンの瞳を煌めかせ「社長があの方に夢中なのが理解出来ました」と、意味深な台詞を残す。は? そりゃあ一体どういう意味なんだ、第一キミは悟飯さんと何をして過ごしていたというのだ、という意味合いの喚きを洩らすオレを彼女はじぃ〜っと見上げ、
「…とても、お可愛らしい方だったのですね、あの方は。今晩、孫 悟飯さまの面倒を仰せつかった事を心から感謝したく思います」
「…っ! だ、だからだなキミ! それは一体、どういう…」
「寝言でずっと、社長のお名前ばかりを呟いていらっしゃいましたから」
 普段なら絶対見せないであろう年相応の表情で彼女はククッと笑うと「差し出がましいとは存じますがお夜食の準備も整えました」と、ダイニングを指した。
「それでは私はこれにて失礼します。お疲れ様でした」

 レディ秘書が去りし後、オレは漸く部屋着を羽織り、スースーと寝息をたてる悟飯さんの真横でそこそこのリゾットを喰らっている。
《良かった。…悟飯さん、ちゃんと此処にいた…》
 血の気の失せていた唇は桜色に、未だ残る傷痕や頬も健康的な艶を取り戻している。秘書曰く「身体もタオルで拭いておきましたから」と言っていたから、当分、新しい寝間着の心配はいらなさそうだ。
 よく眠る悟飯さんの額にそっと唇を落とせば、オレの大好きな彼の匂いに包まれて笑みが止まらない。艶のある黒い髪、ぴくぴくと動く睫毛、このあたたかさ。逞しいのに、やっぱり可愛いと感じてしまうのは罪なのだろうか。

「…ただいま、悟飯さん」

 平和そのものを抱きしめるとその象徴がぴくん、と動き、オレの名を呟いた。





 END.






ウチの悟飯さん脆弱な人だな…(汗)。
というか何時にもまして超くだらないネタだったと読み返し、反省…orz




by synthetia | 2015-06-28 20:30 | (主にトラ×飯)駄文 | Comments(0)