高宮あきと云う奴によるDBトラ飯ブログです。pixiv(9164777)もやってます♪主に女性向けなので、嫌悪感じる方はご遠慮下さい(汗)。


by synthetia

雪とトラ飯SS(短編)

こないだ雪がぶわーって降った時に思いついたトラ飯ネタ。
ついったで書きなぐってぶばぶばしたものをまとめてみました〜🎵

本当まとまりないです。
ご了承ください…!!











 細 雪







『ごはんさんっ、ごはんさん、て、つめたいよぉ…』

 子供の頃、確かあいつは寒いのが大の苦手だった。
 そして今現在「雨は嫌いです」だのと言う。
 そのくせどうした事かごうごうと吹きすさぶ雪には過剰なまでに反応し、喜び勇んで公園の中心で駆け回るのだ、たかが気温差の産物だと云うのに大袈裟だな…と、思う。

 先日から気象情報で近年稀に見る寒波と雪がどうだのと騒がれていた。
 だからこそ折角早く帰ってきてやって暖房をきかし、夜食べるに困らないだけの食糧をどっさり用意してやったのにこの馬鹿は帰宅するなり『雪、見に行きましょうっ!』と、未だ洗い物を終えたばかりだったこの俺をぐいぐいっと、吹雪の真っ只中に引っ張りこんだのだ。
 人っ子一人、姿さえ見えない銀世界。
 踝さえ埋もれてしまう真白き雪と、傘さえ無効とする突風に俺は盛大な溜息をついた。

「…風邪ひくぞ」
 すると吹雪く向こう側から「ひきませんよぉ」と聞き慣れた声。

 もう勝手にやってろ。そして万が一これで風邪をひいたら責任をとってもらおう、俺は社会人であるあいつと違って、単位とバイト代で生きている身の上だ。もし明日倒れた時はきっかり一万二千ゼニー払ってもらうとしよう…そう心に堅く誓った俺だった。

「おいっ、何やってんだ!」
「だってこんなに真っ白いんですよぉ〜! すごいっほら、ふっかふか!!」

 …その抑揚も口調もそっくりそのまま俺の記憶の中の『トランクス』だというのに、時折違和感を覚えてしまうのはどうやら俺の経ている時間と『実際に流れた年月』の差によるものなのだろう。

 やがて奴は吹きすさぶ銀雪の間から俺の名を呼ぶ。
 そして純白のヴェールをかきわけるかのようにゆったりとした歩調でこちらへ歩み寄って「…どこかでお茶でも飲んでいきましょうか」と気遣う態をみせる辺り、あぁこういう所はすっかり変わってしまったなぁ、とも思う。
 …前までだったら雪合戦をして根比べしていただろう。
 寒くなんかないぞ、って。

 はしゃぐキミ、時折見せる年相応の仕種。どれが本当のキミなのだろう。

「…今から店入るつもりか」
 それならキミのマンションに戻った方が金を落とさずに済むから、と、俺はその誘いと申し出を断る。正直、身体は冷え込んでいたけれど、何故かその手を受けとめる訳にはいかなかったからだ。
「お茶代くらいオレが出しますよ」
「たかが色のついた湯水に700ゼニーも使う馬鹿があるか」

 …昔からこいつは飲み物嗜好品に対しては財布の紐がゆるく、そういった所は母親のブルマさんを彷彿とさせる。本当、昔から変わってないな。
 俺は両手を口元に持っていき己の息を吹きかけ、暖をとった。
 心底冷えきってかじかんだ指先はぷっくりと赤く膨れ上がっている。まさかこの都心で雪など降ると予想もしていなかったから手袋の用意などしていなかったのだ。
「………あ、」
 気付けば、瞬く間に俺の左手をさらうようにし己の息を吹きかけているトランクスの姿に俺の両耳は溶鉱炉のように燃え滾った。
 ふわりと舞う、白い吐息。
 新雪の光を弾く、深海の蒼。
 新春の頃に咲く淡い薄紫の花弁を思わせる、不思議な色彩の髪がさらさらと細雪と共に風に舞う。

 誰もいない公園だったのを良い事に俺はトランクスを突き放すと、叱咤とも小言ともとれる言葉の羅列を投げ、彼に背を向け早足で公園の出口を目指した。
 ———寒さはもう、微塵も感じない。
 あるのはただ、己の熱い鼓動と、かき乱されそうな感情のみだ。
 …俺の『死』を連想させる雨は未だに苦手で、しかしこの氷点の生み出す粉状の結晶には嬉々として駆け回る。そのギャップと面影。
 …そして唐突に、思う。
 もし先に死んだのがこいつだったなら———と。

 彼のいない世界。
 この子すら失った俺は一体、どうやって生きていけただろう…と。

 こいつは、生きた。
 生き抜く為に幾度となく色々なものを切り捨て、血を吐く数よりも多くの屈辱と挫折を味わわせられながら、それでも当時の俺の年齢と実力をも追い越していった。
 当時の俺に、それが出来ただろうか。

 …出来ただろう、
 とも、思う。

 だがそれもあくまで『仮定』の話だ。確証はもてない。

 あの頃の自分『孫悟飯』であれば…失うものすら無く、ただ目標を叩き壊すのみの存在であったなら、狂戦士として全てを忘却の彼方へ押沈めたかもしれない。

 だけども、今の俺には…この温もりを失う事など出来ない。






 さくり、さくり、と雪に埋もれていく両足。かじかむ指先。

 俺は速度をゆるめ、ふと振り向く。そこには街灯に照らされた雪がびゅうびゅうと唸りをあげ、夜の全てを白く染めている。
「…トランクス?」
 しまった、少し(いやかなり)邪険に扱い過ぎたかもしれない。

 俺は慌てて彼を探そうとした、その時。
「…わっ…!」
 器用にも気配を完全に消した弟子は、背後から両手を伸ばし俺をかき抱く形をとった。あまりに急な出来事だったので心臓に悪い。つんのめった姿勢で弟子の胸に背中を預けた俺はただもう「馬鹿野郎」と繰り返すほかない。
「…はい、悟飯さん、これ」
 奴は何時の間にか自販機に立ち寄ったらしい。缶をひとつ差し出す。
 差し出されるまま、プルタブに指をかけてみる。嗜好品の甘ったるい香りと湯気がふわっと舞った。吹雪く中で飲むそれは非常に美味く、冷えきった身体に沁み渡る。
「髪、濡れちゃいましたね」
「…キミこそ」
「悟飯さん寒がりなのに、付き合わせちゃってすみません」
 さぁ今度こそ帰りましょう、と彼。

 前までとは絶対的に異なる点。
 ———それはもう、この俺が背伸びをしなくてもよくなった事と、背を預けられる『柱』が出来た事だろう。そのふたつに尽きる。飲みきった缶はあっという間に氷のよう。
「…責任、もてよ」
 え、それってどういう———と、首を捻る奴に、俺は「自分で考えろ」と言い放つ。
 えぇ悟飯さん意地悪だなぁ…と口元を尖らせ、少し考える風な仕種。それはかつて幼かった頃のトランクスを思い起こさせるには充分だったのだが、敢えて俺は助け舟など出さんぞ、と、缶をゴミ捨て場に放る。
 奴は雪に足をとられながら、追ってくる。昔からこういう所は変わらんな、とまたまた安心した。

「…帰ったら、キミの作るココアをくれないか」

 あれが一番好きなんだ、と無難な『回答』を投げるのだが、奴は不意に意味深な笑みをひとつ浮かべると「それだけですか?」と。
 ———どういう意味だ、と問えば、深海の瞳を少し細めた彼が「…冷えたんでしょう、身体」と詰め寄った。

「今夜は離しません」

 だってそんなに濡れている貴方を見ていると心配になるんだ…と、奴は低く掠れた声で呟くと、街灯で照らされた風花の中、ただこちらの体温を隙間無く埋めていく。誰もいないのが幸いした。俺はもう、逆らえなかった。
 抗いたくはなかった。





 昔。父から聞かされた話。
『雪って意外とあったけぇんだ』

 うん、そうだね。
 冷たいけれど、ふわふわしてて柔らかくて。

「…悟飯さん、ほらもう帰りましょう」

 自分のマフラーを外し、こちらの首に巻いてくるその瞳。俺の与える答えを待っていた子供はもう、いない。





 差し出された温もりを受け入れる。
 肩を寄せ、互いの手を握って俺達は帰途についた。







 END.





 話のスジがよく分かりません。
 雰囲気。もうそれしか言えないッス。はい。




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by synthetia | 2018-01-28 12:04 | (主にトラ×飯)駄文 | Comments(0)